- 高齢者住宅・障がい者住宅
- 2018.08.24
グループホーム需要の増加と、介護サービス事業者の倒産状況
グループホームで暮らす障害者の数が施設を逆転 精神科は微減 <2020年度見通し>
2020年度にグループホームで暮らす障害者が、障害者支援施設に入所する人の数を上回ることが6月27日、厚生労働省の集計で分かりました。
施設からグループホームなどへの地域移行を進め、入所者数を減らす政策により、逆転します。
一方精神科病院の長期在院者数は、厚労省の掲げた目標ほどは減らないことが判明しました。
厚労省は退院した精神障害者を応援する地域住民を増やす方法を模索し、退院が進む環境づくりを進める考えです。
都道府県が策定した第5期障害福祉計画(18~20年度)の集計結果を、同日の社会保障審議会障害者部会に報告しました。
計画には、厚労省が示した目標値を踏まえ、20年度までのサービス利用見込みが盛り込まれています。
それによると、施設入所者は18年度の13万583人が、20年度は3%減の12万7,399人になります。
グループホームは18年度の入居者数12万2,114人が、20年度は11%増の13万6,019人となり、1989年の制度化から初めて施設入所者を上回ることになります。
施設入所者の約8割、グループホームの約7割は知的障害者です。
入所施設やグループホームなどで構成する日本知的障害者福祉協会の会長は、「グループホームの利用者が施設利用者を上回るのは、選択肢が増えたという意味で良いことだ。グループホームでの生活が地域社会とつながるよう、さらなる工夫が必要だ」としています。
一方、精神科病院の入院期間が1年以上の長期在院者数は、さほど減りません。
厚労省は18万5,000人(14年)を20年に15万7,000人以下にする目標を掲げましたが、集計結果では15万9,000人。その半分が65歳以上の高齢者です。
厚労省は入院後3カ月、6カ月、1年時点で目標とする退院率を示し、45都道府県がそれを上回る目標を設定しました。しかし、実績が伴うかは不透明です。
厚労省は今後退院を促すには、受け皿となる地域に理解者を増やすことが必要と判断。
その方策として「精神障害者地域生活サポーター(仮称)」の養成を検討する考えを明らかにしました。
介護経営、さらに厳しく・・・事業者の倒産、過去最多ペース
東京商工リサーチは9日、介護サービス事業者の倒産の状況をまとめた最新のレポートを公表しました。今年1月から6月の全国の倒産は45件。
前年同期の40件を上回り、上半期としてはこれまでで最も多くなったといいます。
4月には介護報酬が0.54%引き上げられていますが、年間で過去最多を記録した昨年(111件)を超えるペースで推移しています。
1月から3月が18件、4月から6月が27件だった。倒産した事業者をみると、従業員が5人未満のところが57.7%の26件を占めている。設立から5年未満が28.8%の13件となっており、引き続き小規模で経験の浅いところが多い傾向がみられました。
「新規参入しても営業基盤が固まらない事業者が、資金調達力や社内体制の未整備から淘汰に追い込まれている実態が浮かび上がる」。東京商工リサーチはそうみています。
業種別では「訪問介護」と「通所・ 短期入所」がそれぞれ18件。
この2つで8割を占めていました。
次に7件の「有料老人ホーム」が多い。
倒産の原因をみると、「業績不振」や「事業上の失敗」が目立っています。
多くの事業者が倒産に追い込まれる背景には、やはり累次の介護報酬改定や深刻さを増す人手不足、人件費の上昇、競争の激化などがあります。
東京商工リサーチは、「とりわけ小規模事業者は、業績低迷に資金的な制約も抱えており、深刻な状況から抜け出すことが難しくなっている」と分析。
「0.54%のプラス改定は打開策とはなっていないようだ」としています。
加えて、「今後、経営基盤の脆弱な事業者が『ふるい』にかけられることは避けられない」とも指摘しています。
※記事引用 ・厚生労働省 ・国土交通省・㈱官公通信社・高齢者住宅新聞社・福祉新聞・日本経済新聞 他