住宅ローンのボーナス返済のありとなしではどっちが良い?
住宅ローンは長期の返済となります。
長い期間をかけて返済をおこなっていきますので、完済まで毎月安定して返済を続けていかなければなりません。
20年や30年、35年と長期に住宅ローンの返済を行うケースがほとんどですので、将来的に収入が途絶えてしまうリスクや生活スタイルの変化など、様々なリスクや状況の変化なども考えて住宅ローンを組む必要があります。ゆとりのある返済計画で借り入れを行わないと、何かライフスタイルの変化が起こった時に対応が難しくなることも出てくるかもしれません。
住宅ローンの返済方法には、ボーナス返済をするかしないか2種類あります。ボーナス返済がなしの場合は、毎月定額を返済する方法です。
ボーナス返済がありの場合には、毎月、返済していく金額に加えて、夏と冬のボーナス時期にはさらに多くの返済を行う支払い方法です。
ボーナス返済をするメリットは
将来的に収入の変動があった場合にリスクも伴うボーナス返済ですが、利用することによるメリットももちろんあります。
例えば、今まで借りていた家賃と同額での毎月返済にしたい場合、借り入れができる金額の上限が自ずと確定してしまいます。
その予算内に全て収まれば毎月、今の家賃と同額での返済で収まりますが、住宅の間取りや設備面を決めていくうちにどうしても予算をオーバーしてしまうことも多いです。その時に、希望の設備などを導入したい気持ちも毎月の返済額を予算内に収めたい気持ちも、両方とも叶えられるのがボーナス返済を利用した借り入れとなります。
比較的、安定して賞与が支給される公務員や医療機関等にお勤めの方は、将来的にもボーナスが支給される見通しが立ちやすい職とも言えますので、そうした方は毎月の支払いを圧縮して住宅ローンを受けられるメリットがあると言えるでしょう。
ボーナス返済ありはリスクもあり
フラット35など借り入れ期間の全期間の金利が固定されている住宅ローンは、返済期間の間はずっと、毎月の返済金額が一定となりますので、将来的な返済の負担が分かりやすく資金計画を立てやすいです。
ボーナス返済がありの場合は、夏と冬のボーナス時に毎月の返済金額が上乗せして支払うことになります。他の条件が同じであれば、ボーナス返済がない場合と比較すると、毎月の返済金額はボーナス払いがある場合の方が抑えることができます。その代わり、年2回は返済金額が増えますので、ボーナスが出た分から支払うかその分のお金を他から回さなければなりません。
ボーナス返済は、“しない方が良い”とも“した方が良い”とも、一概には言えないシステムです。
ボーナス返済があった方が月々の支払い負担が少なくなり、ボーナスが出た時に支払いを多くすることで借り入れ額を増やすこともできます。
また、年2回多く払う月が発生していれば、完済が早まるので総返済額や返済期間を少なくする効果も出てくるでしょう。
ただ、20年、30年と長期住宅ローンの性質を考えると、ボーナス返済があることで将来的に大変な時期がくるかもしれません。例えば、会社の業績が悪くボーナスが支給されないことがあった時、ボーナスが出ないからと言って住宅ローンのボーナス払いが免除されることはありません。
また、転職をしてボーナスが出ない会社に入社したり、会社の規定が変わって年俸制になったりしたとしても、ボーナス時には毎月よりも多い払いをしなくてはなりません。終身雇用の時代は終わり、転職や会社の給与規定等も変化する時代になっています。
住宅ローンでボーナス返済がある契約を結んでしまうと、会社の支給の有無に関わらず、ボーナス返済はしなくてはなりませんので注意が必要です。
実際に返済額をシミュレーションしてみると
例えば、返済金額をボーナス払いの有無によってどのくらい月々の支払いが変わるのか、試算を行ってみるとイメージがつきやすいと思います。
住宅の購入に3,000万円住宅ローンを受けた場合、35年返済で金利1.0%の条件で試算すると毎月84,686円の返済額となります。「今まで支払ってきた家賃が7万円なので、この家賃程度で収めたい」という希望があった場合、借り入れ金額を500万円程下げて自己資金を投入する必要があります。
もしくは、ボーナス支払いを設定して、例えば同じ3,000万円で金利1.0%の借り入れを毎月70,571円の支払いにして、夏と冬の賞与時期は155,404円の返済にすることで融資が可能です。
賞与時期には84,833円を毎月の支払い額にプラスして支払うこととなります。
ボーナス払いがない時と比較すると毎月の支払い額の負担が少ないので、魅力的に感じるところもあります。
また考え方によっては、毎月の支払いを抑えることで資金のゆとりが出ますので、そのゆとり分をボーナス払いの支払いに貯蓄しておくことも1つの手立てです。
ボーナス払いの有無によって毎月の支払額が変動しますが、支払いのタイミングが異なるだけで借り入れしたお金は返済していかなければなりません。
いずれの返済方法であっても、返済金額が将来的に大きな負担にならないか資金計画をしっかりと把握した上で決めていくことが重要です。