- 高齢者住宅・障がい者住宅
- 2018.09.20
“仕事付き”高齢者住宅の拡大と、外国人の介護人材受け入れ拡大
“仕事付き”高齢者住宅、拡大して展開へ 経産省が補助 入居者が野菜を栽培
仕事+介護付き有料老人ホーム。
昨年度からスタートしたこの新たなモデルを確立しようという試みが、今年度に拡大して展開されることになりました。
引き続き経済産業省の補助事業の対象となることが決定したという。
取り組みを進める社会福祉法人伸こう福祉会や東レ建設が2018年8月17日に発表しました。
今年度からカゴメも加わり3社のコンソーシアムで実施していきます。
伸こう福祉会が運営する介護付き有料老人ホームで暮らす高齢者のうち、要支援から要介護3までの希望者が参加すします。
施設内にある保育園のサポートをはじめとする軽作業や野菜の栽培などを、あくまでも“有償の仕事”として担ってもらうプロジェクトです。
生きがい・やりがいを持てるようにすること、健康寿命の延伸につなげることなどを目指していきます。
野菜の栽培には東レ建設の「トレファーム」を用います。
高床式の農業ベッドや砂の培地が特徴。
腰をかがめたりしゃがんだりする必要がないなど、作業にあたる人の負担に配慮した設計となっています。
車いすに乗ったままでも対応でき、高齢者などに就農の機会を与える施設として期待が大きい。
イオンリテールの協力も得ます。
でき上がった野菜を、生産した高齢者らがスーパーへ持っていき一般の消費者に販売していきます。
昨年度は1施設のみで試行しましたが、今年度は県内の3施設へ増やします。
施設内の軽作業もバリエーションを広げます。
高齢者が無理なく続けていける仕事は何か、取り組みを発展させるにはどんな工夫が必要か。
そうした模索を行い、必要なノウハウを蓄積したい考えです。
取材に応じた伸こう福祉会の広報担当者は、「有償の仕事を持つことでより生き生きとする高齢者がおられる」と説明。
「コミュニケーションの頻度が増えることも大きなメリット。
多くの希望者が安心して参加できる持続可能な仕組みを作っていきたい」としています。
経産省や東海大学などと連携し、一連の取り組みで健康寿命を延伸する効果を客観的に測っていくという。
介護の外国人受け入れ拡大、環境整備の施策拡充へ予算の大幅増を要求
外国人の介護人材が増加していく今後に向けて、厚生労働省は受け入れ環境の整備に一段と力を入れたい考えです。
本人のサポートや現場の下支えなどを強化する必要があるとして、来年度予算案の概算要求に19億円の費用を計上。
4億円だった今年度予算の5倍近い大幅増を求めていきます。
政府は昨年度、介護福祉士の養成校に留学して資格を取った人や技能実習生も施設などで働けるようにしました。
来年4月には就労目的の新たな在留資格を作り、“受け入れルート”をさらに拡張する計画です。
EPA(経済連携協定)の枠組みがメインだったこれまでと比べ、来日する外国人は大きく増えていくとみられます。
安心して働ける環境づくりは急務。
それを担う現場への支援を訴える声も強まっています。
厚労省はこれまでも施策を講じてきました。
例えば施設への補助。
日本語学校への通学や日本語講師の採用、国家試験対策、教材の購入などに充てる経費を対象としています。
介護福祉士の養成校に通う留学生などを応援する相談支援も実施。
勉強や就活などで困難がないか聞くほか、職場が決まった後も仕事や生活の悩みに寄り添う仕組みを始めました。
厚労省はこうした事業の規模を来年度から大きくしたいという。
実際の予算額は財務省の査定や政府・与党内の協議を経て決まっていきます。
介護の現場を支える外国人を大幅に増やす方針を打ち出した政府が、その環境づくりにどれだけ予算を割くかに注目が集まります。
厚労省は、「EPA、技能実習、留学、どのように来日した方であっても困ることのないよう環境整備を包括的に展開していきたい」としています。
※記事引用 ・厚生労働省 ・国土交通省・㈱官公通信社・高齢者住宅新聞社・福祉新聞・日本経済新聞 他