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高齢者住宅・障がい者住宅
2019.07.05

障がい児施設退所後の行き先と、地域共生社会の実現について

障がい児施設退所後の行き先に「自立援助ホーム」創設を

厚生労働省は8日、障がい児入所施設の在り方に関する検討会(座長=柏女霊峰・淑徳大教授)を開き、関係6団体からヒアリングした。その一つ、日本知的障害者福祉協会は、障がい児施設を退所した後の行き先として「自立援助ホーム」の創設を提言した。

自立援助ホームは義務教育終了後の15歳から原則20歳未満の、親と暮らせない人が暮らす場で、児童福祉法に位置付けられている。現在、164カ所ある。同協会はそれとは別に、障がい児に限定して22歳まで暮らすことのできるホームとしたい考えだ。

また、障がい児施設に入所する段階から、措置権限を持つ児童相談所、18歳以上の障がい者へのサービス支給決定権を持つ市町村などが施設退所後を見据えて話し合う仕組みをつくるよう要望した。

提言の背景には、18歳を過ぎても障がい児施設にいる「加齢児」の存在がある。知的障がい児施設で暮らす子どもの7割は行政の措置による。家庭で虐待されたことなどが理由だ。

そうした子どもが退所後の生活基盤を整えるには行政の関与が不可欠だが、現在は児童の制度から障がい者の制度につなぐ仕組みが法的に担保されていない。その調整は施設の努力に負う現実があり、同協会はそれを改めたい考えだ。

協会が提言する自立援助ホームはこうした話し合いのシステムを構築した上で、アパート暮らしやグループホームに移る手前の通過型の施設として、少人数での共同生活に慣れることを想定する。

同協会は、5年前の厚労省検討会でも同様の提言をしたが、社会的養護の分野で制度改革が進んだことも踏まえ、再提言した。

親と暮らせない事情のある子どもの育ちを保障する社会的養護の分野では、障がいのある子どもが増加。児童養護施設などは生活単位の小規模化が進められている。検討会は今年2月に発足し、12月をめどに報告書をまとめる。

新しい制度・施設ができるということで、今後の動きに注目していきたい。

地域共生社会の実現に向け伴走型支援を強化〈厚労省〉

厚生労働省は16日、市町村が住民の孤立、困窮、介護といった生活課題に総合的に対応するための方策について検討を始めた。どんな相談も断らないことを目標とする。社会福祉法人や地域住民らが当事者に伴走する支援を強化する。かねて提唱してきた「地域共生社会」の実現に向けて、新事業の創設を視野に入れて年内に報告書をまとめる。

同日、地域福祉の実践者や有識者による「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(座長=宮本太郎・中央大教授)の初会合で、検討の方向性を示した。

複合的な課題を抱えたケースに対し、制度横断的に対応するようこれまでも市町村に呼び掛けてきたが、高齢者、障がい者といった対象者ごとの縦割り制度下で相談機関が対応すると、補助金の目的外使用との批判を受ける場合があるという。

市町村にとってやりづらい現状を改善するため、より制限の緩い補助金の流し方を検討する。どんな相談も宙に浮かないようワンストップで対応したり、複数の相談機関をつなぐ人材を明確にしたりする姿を目指す。

伴走型支援とは、困りごとそのものではなく、困りごとを抱えた「その人」に着目した関わりを指す。「その人」がさまざまな人と出会い、支援される場面と支援する場面が起こることを側面から支えるイメージだ。

「その人」が参加しようと思えるサロンや活動機会を作ることなどが想定される。困りごとを完全に解消することだけでなく、「その人」の生活の幅を広げた結果、困りごとを相対的に小さくすることにも価値を置く。

※記事引用 ・厚生労働省 ・国土交通省・㈱官公通信社・高齢者住宅新聞社・福祉新聞・日本経済新聞 他

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