適切な維持管理で戸建て住宅を長持ちさせる
新築で住宅を建てた後、できるだけ長い間快適に暮らしたいのは、誰もが思うところです。木造住宅であっても、しっかりとメンテナンスを行って建物の維持管理を行えば、50年以上暮らし続けることも可能です。特に最近の住宅は耐久性が高くなり、以前よりも維持やメンテナンスの手間が省ける建材や工法が広まり、住宅の寿命は長くなってきています。
最近の住宅の寿命が長くなったからといって、メンテナンスフリーで住宅を維持できる訳ではありません。適切な時期に適切なメンテナンスを行って建物を維持しなければ、住宅の機能が低下したり外観が汚くなったりします。
戸建て住宅の維持・管理は自分で計画が必要
戸建て住宅の場合、住宅の維持・メンテナンスは自分自身で行わなければなりません。分譲マンションの場合、マンション管理組合が修繕の計画を立て、修繕費用を積み立てて将来的なメンテナンス費用を蓄えていきます。分譲マンションは、居住者でマンションを共同で保有することになりますので、維持・メンテナンスに関わるお金もみんなで支払いますし、修繕の計画も居住者たちで考えますので計画的で安心です。
その一方で戸建て住宅の場合、住宅は基本的には1世帯で使用することになりますので、住宅をどのように維持・管理していくかは、自分で考えなければなりません。メンテナンスに必要な費用も、自分で支払わなければなりませんので、計画的にお金を積み立てておく必要があります。
いつ、どのようなメンテナンスが必要なのか?
戸建て住宅の維持にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。維持・メンテナンスを行わなければならない箇所は多々ありますが、大きな費用がかかり住宅の機能としても重要なのは外壁や屋根などです。常に外に接している箇所になりますので、雨風にさらされ、太陽からの紫外線を受け、日中と夜間の寒暖差の影響も常に受け続けることになります。
使用している建材の材質や周辺の環境等にもよって変わりますが、10年~20年で塗り替えや張り替えなどのメンテナンスが必要になります。足場を組んでの作業が必須になりますので、住宅のメンテナンス費用としても大がかりな金額になるでしょう。
また、外壁については、外壁材と外壁材をつなぎ合わせる目地(シーリング)があります。ここは、外壁材よりも寿命は短いため、5年~10年くらいで打ちかえの必要が出てきます。
屋根についても、外壁と同様に用いている材質や環境によってメンテナンスのタイミングは変わってきますが、10年程度で点検や塗装、防水工事等が必要になることを見込んでおくと良いでしょう。
外壁と屋根は、外気や雨風から住宅内部や建物の躯体を守っていますので、防水性能などの機能が切れてしまうと建物自体の寿命にもつながりますので注意が必要です。
また、給湯器や冷暖房機は使用頻度等によっても大きく左右されますが、10年~15年くらいで修理や本体の交換等が発生することを見込んでおく必要があります。お湯が出なかったり、冷暖房が使えなくなったりすると、その影響は生活に直結しますので早めに修理や機器の更新をしなければなりません。機器の不調等の予兆があれば、早めに対応して生活に影響がないようにすることも必要でしょう。
適切なタイミングにメンテナンスを行うことが重要
維持・メンテナンスについては、建物で使用している建材の材質や設備の耐久性によって異なってきますが、適切な時期にメンテナンスや点検を行うことが重要です。メンテナンスを行うのが遅くなってしまうと、雨漏りが発生してしまったり、外壁の目地(シーリング)から内部に水が入ってしまったりします。建物の構造体に水が入ってしまうと、建物の寿命を短くしてしまう可能性もあります。
メンテナンスが必要なタイミングには、ばらつきがあります。「屋根は問題ないから外壁の傷みはそのままにして同時に修理をすれば足場代が1度で済む」のような考えでいると、その時の費用は少なくなるかもしれませんが、長い目で見たとき、建物自体が痛んでしまった場合の維持・メンテナンス費用は高くなってしまいます。そのため、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが良いでしょう。
維持・メンテナンス費用は新築時からの積み立てを
大きな修繕になると費用がかさみますので、一括で支払うとなると家計への負担も大きいです。月1万円など少額でも良いので、新築当時から積み立てを行っておくと安心です。
新築時は建物も新しいので、ほとんどメンテナンスは必要がない状態が続くでしょう。築後10年までは、ほとんど大きな出費が出ないことが多いはずです。このメンテナンスにお金がかからない時期に、毎月1万円ずつ貯蓄していけば、築10年になる時には120万円の維持・メンテナンス費用が貯まる計算となります。
毎月少しずつ積み立てた貯金を、将来メンテナンス費用に充当することで、家計への影響は小さく済むでしょう。突発的に給湯器や冷暖房機器など設備の故障が発生した際の支出も安心です。