- 高齢者住宅・障がい者住宅
- 2020.11.04
福祉施設の水害避難計画 作成済みは45% 2021年度までに100%へ〈国交省〉
水害発生の恐れがある地域の高齢者・障害者施設などに作成が義務付けられる「避難確保計画」について、国土交通省は7月8日、作成済みの施設が対象施設全体の45%にとどまることを明らかにした。
自治体ごとで作成状況にバラツキがあるが、国交省は2021年度末までに100%の作成率を目指す。
同計画は地域防災計画で定められた対象施設が作り、迅速に避難するための避難誘導や防災体制などを盛り込む。
国交省によると、今年1月1日時点で、浸水が想定される地域の対象施設は全国で7万7906施設あり、計画を作っているのは3万5043施設(44・9%)だった。
7月の豪雨災害で特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人が死亡するなど多くの犠牲者が出た熊本県の作成率は5・4%で、全国で一番低かった。最も高かったのは岩手県の81・8%だった。
市町村単位では宇都宮市や東京都江東区のように対象の全施設が作っているところもあれば、1施設も作っていないところも複数ある。
対象施設が1706施設と関東地方で最も多い川崎市は多摩川をはじめ多くの河川が流れる地域だが、計画の作成率は32%。19年10月の台風19号では市内の浸水被害が大きく死者も出した。
同市は「対象施設には計画を作るよう連絡しているが、昨年の台風19号以降もあまり進んでいない。
危機感を持ってもらえるようさらに働き掛けたい」(総務企画局危機管理室)としている。
同計画の義務付けは、16年の台風10号による豪雨災害で、岩手県岩泉町の高齢者グループホームの入居者9人が亡くなったことを踏まえ、水防法などを改正して規定された。
ランチは地元から出前で特養ホーム麦久保園が新たな地域とのつながり模索
福信会が運営する特別養護老人ホーム「麦久保園」(東京都あきるの市)は6月から週に1回法人が地域の飲食店からお昼の出前を取り、職員に無料で提供する取り組みを始めた。
新型コロナウイルス感染症により影響を受けている地域の飲食店を応援する試みだという。
地域の飲食店を応援する企画はもともと、あきる野市商工会議所が「エール飯」と名付けて実施しており、これに賛同した。
事前に担当の職員がテイクアウトをしている近隣の飲食店を下調べし、当日出勤する職員40人分をまとめて購入する。
取り組みのきっかけは、職員間での会話だった。4月以降、新型コロナの影響で、麦久保園でも感染予防対策に追われるとともに、利用者との外出やイベントなどはすべて中止になった。
また、地域の飲食店も軒並み自粛で閉塞へいそく感が漂っていた。そんな中、職員からは「何か楽しくなるようなことをしたい」という声が湧き上がり、企画が決まったという。
前田卓弥・同施設長補佐は
「新型コロナの影響で地域が大変な時に社会福祉法人として何ができるかを考えた結果でもある。理念を語るだけでなく、身の丈にあった小さな一歩を踏み出す行動も大切では」と話す。
今後、「新しい生活様式」もうたわれる中で、新たな地域とのつながりも模索したいという。