- 資金計画
- 2021.04.02
大きな節税効果が得られる住宅ローンの拡充は期間限定!
2021年度(令和3年度)の税制改正で、住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン減税の「特例」が延長されることに決まりました。
住宅ローン減税は、通常10年間ですが、消費税が10%に増税となるタイミングで住宅需要の極端な減少を抑制するため「3年間」の延長特例が施行されていました。
今年度は、新型コロナウイルスの影響による住宅需要の低迷が予想されることから、この特例の期限が延長しています。
住宅を手にした方々からは、「住宅ローン減税は、家計にとって効果が大きい」という意見が多いです。
住宅購入を検討している方は、住宅ローン減税の延長がされている間に購入することで、その恩恵を十分に受けてマイホームを手に入れることができるでしょう。
年末調整で所得税控除による節税効果を
住宅ローン減税は、住宅を購入する際に住宅ローンを利用した場合に税額控除を受けることができる制度です。
住宅ローン控除のことを「保険の掛け金や個人型確定拠出年金のiDeCoの掛け金など所得から控除できるものと同じようなものだろう」と考える方も多いかもしれませんが、税金の計算方法も違うため、節税効果のインパクトは他のものに比べて大きくなります。
所得税の節税につながると聞くと会社員であれば、年末調整を思い出す方も多いかもしれません。住宅ローン控除は他の所得控除とは異なり、住宅ローン控除の金額を納税額から直接引くことができるため、節税効果が大きく得られます。
住宅ローン控除を使うためには、初回は確定申告を行わなければなりません。確定申告をしたことがない方は難しそうに感じるかもしれません。しかし、給与所得と住宅ローン控除の手続きのみであれば、書類は多くなく記載事項も簡易的な内容ばかりなので、確定申告は問題なくできるでしょう。
iDeCoと住宅ローン控除を比較、住宅ローン控除は納税額にダイレクトに響く
実際の税金の計算方法も確認しながら、住宅ローン控除の節税効果を見てみましょう。
iDeCoや保険の掛け金は、給与収入から掛け金等の控除できるものを差し引く所得控除になります。所得控除には、基礎控除や社会保険料控除などもあります。
住宅ローン控除の節税効果を比較するため、iDeCoを例にして節税効果を確認してみましす。
例えば、iDeCoを毎月2万円の掛け金をかけている方を例にしてみると、年間掛け金は24万円となります。この場合、iDeCoの掛け金は、給与収入から差し引くことになります。差し引くのはiDeCoの掛け金だけでなく、基礎控除額や社会保険料等と一緒に24万円のiDeCoの掛け金を差し引く形で所得控除を行います。
つまり、iDeCoの掛け金分、課税所得金額を減額することになります。その上で、所得税率を掛け合わせて納税額を決定する流れです。
上記のような計算のプロセスになりますので、iDeCoの節税効果としては、24万円の掛け金の一部だけが税金として計算されません。所得税率が10%の場合で計算すると、2.4万円の節税効果が得られます。
それと比較して住宅ローン減税は、納税額から直接差し引くことが可能です。例えば、課税所得金額が284万円の場合、納税額が10%の28.4万円になります。
この方がiDeCoの掛け金を年24万円あったとすると、課税所得金額が284万円-24万円=260万円になります。課税所得金額260万円の10%を納税するので、26万円の納税が必要です。
住宅ローン控除は年末の住宅ローンの残高の1%が控除金額となります。(延期の3年間については、住宅ローンの残高の1%か住宅取得対価から求めた金額のどちらか低い金額分が控除可能です。)
例えば2,500万円で取得した住宅で年末の住宅ローン残高が2,000万円ある場合、20万円分の控除を受けられます。※控除額は諸条件により異なります。
先ほどの例で比較すると、住宅ローン減税で納税額24万円から20万円差し引くことが可能ですので、所得税の納税額としては4万円まで少なくすることが可能です。
住宅ローン控除は納税額からダイレクトに差し引くことが可能なため、iDeCo等と比較しても大きな減税効果が期待できます。
控除期間延長は期限があるのでお早めに
住宅ローン控除を3年も長く受けられるのは、前述の通り、節税効果が大きいです。
しかし、この住宅ローン控除の期間延長を受けられるのは、期日が決まっているので注意が必要です。注文住宅の場合は、2021年(令和3年)9月末までに住宅の契約を行う必要があり、入居についても2022年(令和4年)12月末までに行う必要があります。
今回の住宅ローン控除期間の延長は特例的な措置のため、来年度も継続する約束はありません。住宅ローンを組んで住宅を入手したいと考えている方は、この期限に間に合うように手続きを行った方が良いでしょう。