親の土地に住宅を建てる場合の注意点
お子さんやお孫さんの住宅を建てる支援方法の1つとして、親や祖父母などが所有している土地に住宅を建てるケースがあるでしょう。一緒の敷地内に住んだり、二世帯住宅を建てれば、子どもや孫と近くに暮らせます。
子どもがいる家庭でも夫婦共働きの世帯が多い時代です。子育てや日々の家事を手伝ってもらうこともできるので、親が近くに住んでいることによるメリットは大きいです。親としても、子どもや孫が身近にいることを嬉しく感じる方も多いでしょう。
親の土地に住宅を建てるメリットはありますが、注意すべき点もありますので、今回はその注意点について確認してみましょう。
土地を借りる場合のお金の問題
親の土地に住宅を建てようとした時、ふと疑問に思うのがお金の問題ではないでしょうか。「全くお金を払わず、親の厚意に甘えてしまって良いだろうか?」と考える方もいると思います。
「減るものでもないし、土地を借りるだけだから、タダで使わせてもらっても良いのではないか」と思う方もいると思いますが、土地を所有しているだけでも費用がかかってきます。
所有者には、土地の評価額に対して固定資産税・都市計画税が課税されます。固定資産税と都市計画税は毎年、課税されますので、使用しているのが他人であっても所有者は税金を納める必要があります。少なくとも、不動産を持っているだけで費用がかかるのは事実ですので、土地を無償で借りるのか少しでも賃借代を払うのか、家庭内でよく相談した方がよいでしょう。
お金を支払うか支払わないかは、当人たちの気持ちの問題の面が大きいですが、気持ちの問題だけではなく税金の制度上の側面も注意してみることが重要です。
贈与税や相続税など税金の問題にも注目を
土地を借りて住宅を建てる場合、税金面についても確認することが必要です。贈与税と相続税が該当する可能性が出てきます。
贈与税は名前の通りお金をあげるなど財産を受け取った時に贈与を受けた側に課税される税金です。現金で渡す場合もありますし、物で財産を渡す場合もあるでしょうが、そうした場合に贈与税が課税されます。お金でもらった場合は贈与税を計算するのも簡単ですが、お金以外に家や土地などの不動産や自動車、宝石類など金額が明確に分からない場合もあります。
お金以外での贈与の場合は、贈与を受けた時の時価によって贈与額が決まります。この金額は、財産評価の法令解釈通達が国税庁より示されていますので、そちらの計算方法に則って金額が決められます。
今回のケースでは、親から無償で土地を借りた場合、贈与税がかかるかが気になるところです。土地代をもらわなければ贈与に該当せず、土地代をもらうと贈与税が発生する可能性がある、というのが一般的なケースとなります。
住宅を親から借りる場合、お金を払わないで使わせてもらうことが多いのではないでしょうか。お金を払わない場合は、土地を無償で利用しているので使用貸借に該当します。使用貸借となる場合は、贈与税には該当しませんので課税の心配はしなくても大丈夫です。
親の土地を有償で借りて住宅を建てる場合
お金を払わずに親の土地を借りれば、使用貸借に該当し贈与税の心配がなくなりますが、お金を支払った場合は賃貸借となり贈与税がかかる可能性が出てきます。
親に支払うお金が、本来支払うべき金額よりも少額である場合、その差額に対して贈与が行われたことになってしまいます。そのため、贈与税の課税を避けたい場合は中途半端な金銭のやり取りはせず、使用貸借として土地を借り受けるのが良いでしょう。土地の固定資産税分を負担するのであれば、一般的には使用貸借の範囲に認められることになります。
土地を使わせてもらって住宅を建てる場合は、こうした贈与税に該当するかどうかも確認しながら行うと安心でしょう。
また、他人に土地を貸している場合、相続が発生した時には土地の相続評価は下がります。他人が使っているため借地権が発生しており、土地の自由度が低くなるからです。しかし、使用貸借で親から土地を借りている場合、借地権が発生していることになりませんので、相続税評価は下がりません。
通常通りの評価額となりますので、相続税を抑えたいと考えている方は使用貸借では節税効果は得られません。
親から土地を借りることで、住宅を建てる場合の費用を抑えることができるのは魅力的です。しかし、それに関連して贈与税や相続税がどのように影響してくるのかを検討することも把握しながら、マイホーム建設に向けて進めていくと良いでしょう。