新築時から考えたい、メンテナンス性の高い家づくり
注文住宅でこだわりの家を建てること。特別感があり、新しい暮らしへの期待も高まるでしょう。それだけに、これから何十年と快適に暮らしていくためには、なるべくメンテナンスコストの負担が少ない、メンテナンス性の高い家づくりが大事になります。
では、メンテナンス性の高い家づくりとは、どんな家でしょうか。新築時に検討したいポイントをいくつかご紹介します。
家づくりはイニシャルコストの視点だけではない
まず、家づくりは全体の総価格(イニシャルコスト)が重要になります。予算は軽視できませんが、金額ばかりに気を取られると、メンテナンス性の高い家づくりが手薄になる場合があります。
もちろん、こだわりを持ってローコストで家を建てられたらいうことはありませんが、後にメンテナンスでかなりの金額がかかれば、長い目で見ると損をする結果になります。
逆に、最初から各所にこだわり過ぎた予算オーバーのハイコストで家を建ててしまっても、金額が負担になり、メンテナンスにまで手が回らない可能性が高くなります。
「では、どうすれば?」ということになりますが、要は、どこに金額をかけるかのバランスを考え、メンテナンスしながら長く心地よく暮らせるポイントを見極めることが、メンテナンス性の高い家づくりになります。後で、新築時からこうしておけばよかったと後悔しないためにも、設計士とよく相談することをおすすめします。
メンテナンスフリー≠ノーメンテナンス
家のメンテナンスは必ずやってくるものです。メンテナンスフリーという言葉を耳にしますが、ノーメンテナンスだと勘違いする方が多く見受けられます。メンテナンスフリーというのは、“メンテナンス期間に猶予があること”をいい、ノーメンテンナンスというのは、“メンテナンスが不要”ということで、まったく意味が違うのです。
メンテナンス関連用語でいえば、“保証”と“無償”も同じように勘違いをしている方が多いかもしれません。“保証”は有償や無償があり、期間や箇所が決められているのに対し、“無償は”そのままの意味で費用はかからないという意味です。
これまで、何となくのニュアンスで理解しているかもしれませんが、はっきり識別しておく必要があるでしょう。
メンテナンス性の高い家にする工夫
今まで見てきたように、どんな家でもメンテナンスは必須になります。そのため、新築時から何十年後までのメンテナンスコストをよく考え、部材や設備機器などの一つ一つをていねいに選択することが大事です。ランニングコストにも影響する場合もあり、どんな工夫をすればいいのかをお伝えします。
1.メンテナンス回数を減らせるものを選ぶ
築年数を重ねても、断熱性・気密性、耐震性・耐久性が高ければ、長持ちする家になります。できればメンテナンスフリーのものを選ぶことがおすすめです。
例えば、木造の工法でいえば、2×4(ツーバイフォー)工法で耐震性をあげたり、外壁であればサイディングやALCなど、メンテナンス回数やコストが抑えられる素材を選ぶことが可能です。最初に注意深く選択することで、将来的に手間をかけず、長く住み続けられることができるでしょう。
2.長く流通している定番ものを選ぶ
部材や設備は、次々と新製品や新商品が登場します。性能がよくなっている分、最初からコスト高になってしまいます。その点、長く愛され続けている定番の部材や設備品を選べば、流通数が多いため、コスト安につながります。
3.取り替えや修理可能なものを選ぶ
特に設備品は消耗が激しく、築後数年で寿命になってしまう可能性もあります。特殊オーダーのものでは、また一から取り替えることになったりするため、最初からなるべく取り替えや修理が可能なものを選んでおけば、工事期間や費用の削減につながります。
4.保証がついているものを選ぶ
消耗品は仕方ありませんが、保証期間内なら安く直してくれたり、無償で直してくれたりするものがあるでしょう。住宅メーカーが採用している部材や設備機器にもよりますが、対象数が多ければ多いほど、トータルではメンテナンスコストを減らすことになります。
メンテナンスの費用相場と費用の準備
一般的に、同じ家に住み続けてメンテナンスをしていけば、数百万円以上かかることになります。これだけの金額がかかるわけですから、メンテナンスコストのことも考えておく必要があるでしょう。
費用の準備方法は、二通り考えられます。一つは先行投資です。メンテナンスが楽になる部材や設備機器などを最初から選ぶため、予算やローン枠に上乗せをすることです。もう一つは、マンションの管理費のように、毎月コツコツと積み立てていくことです。
新築時にはデザインや間取りに意識がいきますが、後にかかるメンテナンスを考えておくことは、長い目で見て、家づくりにとってかなり重要なキーポイトとなるでしょう。