- 住宅選びのポイント
- 2015.12.04
今話題の1.5世帯住宅とは?
現在、親世帯と子世帯がひとつ屋根の下で生活を共にする2世帯住宅が一般的です。しかし近年、家族構成が多様化したことにより、新たに「1.5世帯住宅」という暮らし方が誕生しました。これにより、多世帯での同居を考えている方々の選択肢が広がり、より自分たちに合った暮らし方を実現できるようになったのです。
そこでここでは、近年注目を集めている新たな暮らし方、1.5世帯住宅についてご紹介します。
どのようにして誕生したの?「.5世帯」住宅ヒストリー
最近は、2世帯住宅以外に1.5世帯住宅のような「.5世帯」という新たな形が生まれつつあります。 「.5世帯」とは、ひとつの世帯と単身の成人が同居するというもの。たとえばこれには、両親と成人である単身の子ども、または両親と祖父などの家族構成が挙げられます。そんな「.5世帯」という考え方が誕生した背景には、核家族化が大きく関係しています。
高度経済成長期を経て進行した、核家族化。核家族とは、一組の夫婦と子ども(未婚)からなる家族のことです。核家族化の進行は今もなお続いており、日本における核家族の数は増加傾向にあります。そして、これに比例して、核家族から子が独立して両親のみで生活する世帯も増えてきています。なかには、配偶者に先立たれ1人で暮らす高齢者や、誰とも結婚せずに一生単身で過ごすという方もいます。このことから、高齢・若年世代ともに単身の方が増えてきていることがわかります。
今もなお復興活動が続いている東日本大震災をはじめ、日本では大きな災害が頻繁に起こっています。この経験から、今の日本では、家族がひとつ屋根の下で生活することの大切さが見直されています。 単身で生活していると、万が一危険に晒されたときに助けを求めることが困難です。また、1人という環境から不安感がさらに強くなってしまうことが考えられます。今後またいつ、大きな災害に見舞われるかわかりません。そのため、世帯においても共に助け合っていく"互助の関係"を意識しなければなりません。こうした背景から、1.5世帯といった「.5世帯」という新たな暮らし方が誕生したのです。
1.5世帯住宅の購入 住宅設計は? 物件選びのポイントは?
家族がひとつ屋根の下で暮らすことの大切さが見直され、「.5世帯」が注目されるようになりました。しかし、いくら家族とはいえど、一人ひとりのプライバシーはきちんと確保しなければなりません。そこで1.5世帯住宅では、一緒に住むうえでのメリットを強調した暮らし方が提案されました。
従来の多世帯住宅である2世帯住宅は、プライバシーを確保する暮らし方として、生活空間を分離するという設計を採用していました。しかし、1.5世帯住宅の場合はそうではありません。一室に専用のサニタリー(バスルームやトイレ、キッチンなどの水回りのこと)やミニリビングを設けることで、まるで一人暮らしをしているかのような感覚を楽しめる設計を採用したのです。もちろん、住宅内には家族と団欒を楽しむ共有リビングもあります。
この設計により1.5世帯住宅は、"家族とともに過ごす安心感"と"プライベート空間の快適さ"の両立を実現させました。「孤立感のないプライベート空間が設けられている」。これこそが、1.5世帯住宅の大きな特徴だといえます。
そんな1.5世帯住宅は、注文住宅で購入することができます。外観や内装、間取りを自由に決めることができる注文住宅なら、快適な暮らし方の実現が可能です。 ほかにも、たとえば中古物件を購入し、それをリフォームして1.5世帯住宅にすることもできます。もしもリフォームをする際は、スムーズに施工を進められるよう、事前に水回りを確認することが大切です。一戸建ての場合は、水回りの設置場所に制約がでてきたり、給湯器の大きさが合わなかったりすることがあります。マンションの場合は、配管が共有になっていることが多いため、水回りを思い通りに設置できない可能性があります。こうした問題を未然に防ぐためにも、確認を怠らないようにしましょう。
1.5世帯住宅の魅力 多彩なメリット
ここまで、1.5世帯住宅が誕生した背景や、住まい設計についてご説明してきました。では、具体的に1.5世帯住宅の魅力にはどのようなものがあるのでしょうか。以下でご紹介します。
1.5世帯住宅の魅力は、"安心感"。たとえば、両親と子どもが1.5世帯住宅に住んでいたとします。両親にとって子どもが自分の家に帰ってくることは、無事を確認できるという意味でも、とても大きな安心感に繋がります。また、これは子どもにとっても同じであり、高齢になった両親と生活を共にすることで、常に両親の健康状態を確認することができるのです。このように、お互いに安心感を持って過ごせる暮らし方こそが、1.5世帯住宅の1番の魅力だといえます。
魅力はほかにも、互いに自分らしい暮らし方を尊重できる、適度な距離感を保ちやすい、将来の多世帯同居への準備になる、などがあります。このように、魅力を多く有している1.5世帯住宅は、満足できる家族との共存・暮らし方を実現します。
ライフスタイルと照らし合わせて......
1.5世帯住宅をはじめとする.5世帯住宅は、核家族化と単身世帯を経て誕生した、新しい家族構成です。この機会に、多世帯がひとつ屋根の下で暮らすことの大切さやメリットを確認し、それを自分たちのライフスタイルと照らし合わせ、「.5世帯住宅」の購入を検討してみてはいかがでしょうか。