通路スペースも無駄にしない、ウォークスルークローゼット
「WIC」「WTC」と書く不動産用語をご存じでしょうか。「WIC」はウォークインクローゼットのこと、「WTC」はウォークスルークローゼットのことを指します。収納スペースはなくてはならない空間ですが、特に大型収納スペースが欲しい方にとっては、どちらも人が入れるほど大きな収納部屋になりますから、ぜひ、新築時の設計に取り入れたいと思うかもしれません。
ウォークインクローゼットに比べ、ウォークスルークローゼットのほうは聞き馴染みがないかもしれませんので、その違いや必要性をご紹介していきます。
ウォークスルークローゼットとは、どのようなもの?
ウォークインクローゼットは人が入れる収納部屋になり、ドアのある出入口は1ヵ所で1.5~2畳ほどの大きさが必要になります。ウォークスルークローゼットも人が入れる収納部屋というのは同じですが、ドアの有無にかかわらず出入口が2ヵ所あり、通り抜けが可能な収納部屋で、2~3畳ほどの大きさの収納スペースです。違いは、「イン」と「スルー」の言葉通り、通り抜けできるかどうかの点になります。
では、敷地が狭いとそんなに大きな収納はできないと思うかもしれませんが、出入口が2ヵ所ある特徴により、意外とウォークインクローゼットより効率のいい収納スペースが生まれる可能性はあります。
ウォークスルークローゼットの役割
ウォークスルークローゼットには主な3つの役割があります。ウォークインクローゼットにはない特徴を見ていきます。
①部屋がつながるため、生活動線がスムーズ
室内とはいえ、キッチン、リビング、バス、トイレ、玄関など、生活する上では頻繁に動き回ることが多くなります。2部屋、3部屋がウォークスルークローゼットでつながれば、部屋の移動をしながら効率的にアイテムを取り出したり片づけたりすることが可能です。各部屋で収納しきれないアイテムが一度に収納できることになります。各部屋に収納スペースがあったとしても、少しでも各所の収納をまとめるスペースがあれば大助かりです。収納スペースはいくらあっても困ることはないでしょう。
②出入口が2ヵ所あるため、採光や通気がスムーズ
ドアがあり、一方通行状態のウォークインクローゼットでは、どうしても湿度が高くなりがちです。奥行きがあればあるほど通気性が悪く、カビやダニなどが発生しやすい環境になってしまいます。基本的に日当たりは必要ないために、窓を取りつけないことも多く、窓があったとしても今度は結露による湿度が弊害になってしまい、保管する環境は難しいものです。
ドアがなく、2ヵ所の出入口があるウォークスルークローゼットでは、自然と空気の循環ができていますから、収納したアイテムをいつもいい状態に保つことが可能になります。周りからの自然光の明るさも取れることになり、衣服のコーディネートが楽しめる空間としても最適です。
③飾る、見せる収納で、高いインテリア性キープ
部屋同士をつなぐ、プライベートの収納スペースだとはいえ、見せ方によっては店舗のショールームのような演出が可能です。きれいな収納にすることによって、いつでも整理整頓をしようとする意識も高まります。
来客があっても、インテリア性が高ければ、ウォークスルークローゼットが自慢の収納スペースとして活躍するでしょう。
ウォークスルークローゼットに適した場所
ウォークスルークローゼットの使い勝手がいいといっても、設置場所によってはかえって不便さを感じることにもなりかねないでしょう。そうならないためにも、設置に適した場所を考えることが重要になります。例として挙げますので、しっかり設計段階で検討しましょう。
①玄関とリビングをつなぐ
外出時、帰宅時に靴、傘、ゴルフバッグ、コートなどをすぐ収納できる便利さがあります。子どものおもちゃなどもすぐに片づけられます。
②寝室とリビングをつなぐ
起床後に身支度をしてリビングに行く動線、リビングから就寝用に着替える動線ができます。来客の視線を心配することのないプライベート空間になることが可能です。
③キッチンと洗面所をつなぐ
食品のパントリーとしたり、洗濯物の収納としたりする利用ができます。忙しい朝の時間の動線がスムーズになり、動きの負担が改善されるでしょう。
部屋という思い込みを捨てて増やす収納スペース
狭い敷地、狭い間取りだとしても設置できる空間が、ウォークスルークローゼットです。収納部屋と通路を兼ねるという、曖昧さがいい意味で収納スペースの使いやすさをアップさせてくれるでしょう。
収納は1種類だけではありません。自由設計のニッケンホームには、「大収納空間」を作る提案もあります。いろいろな収納パターンを組み合せながら検討し、目的に合った収納をじっくり考えてみましょう。