常に綺麗な空気を吸い込める”24時間換気システム”とは？

住宅工法: 2016.01.25

家を建てるなら、家族全員が健康的に過ごせるような住まいにしたいものです。そのため、家づくりをする際に材質にこだわったり、同居する方の世代によってはバリアフリー設備の導入を検討したりするという方が多くいます。そこで今回は、健康的な住まいをサポートする設備の1つ、"24時間換気システム"についてご紹介します。

どういった設備なのかを知ろう

"24時間換気システム"とは、その名の通り室内の空気を随時入れ替えることができるシステムのことです。平成16年に改正された建築基準法によって、この24時間換気システムの設置が義務付けられています。住まいの換気を適切に行うことでチリやホコリといった不純物を排出することができ、心身の健康を保つことに繋がります。その適切な換気をするのに必要な設備が"24時間換気システム"なのです。

設備のシステムは3通り

24時間換気システムは、ファンを使用して室内の空気を計画的に換気します。また、設備のシステムは以下の3種類に分けることができます。

第一種換気
これは、外の空気を吸い込む"給気"と室内の空気を排出する"排気"の両方にファンを使用することで、室内の空気を強制的に換気するタイプの設備です。これらを更に細かく分類すると、小型の壁掛けファンを使用する"分散型"と、給気と排気を1箇所で行い、ダクトを伸ばして部屋ごとの空気を排出する"集中型"に分けることができます。

"集中型"の換気設備は、より細かく分類することができます。1つは排気の熱と湿度を一気に回収してそれらを給気に戻す"全熱交換型"、もう1つは排気から熱のみを回収し、給気に戻す"顕熱交換型"と、それぞれ分類されています。

第二種換気
この換気システムは、給気にファンを使って強制換気をし、排気には特に何も使用せず自然換気をするタイプです。外気が入りにくくなるため、病院やクリーンルームといった施設で多く採用されている換気システムです。

第三種換気
この設備は上記の第二種換気とは逆のシステムになります。つまり、給気には特に道具を使用せず自然換気をして、排気にはファンを用いて強制換気をするタイプの換気設備です。この換気設備は冬が厳しくなる地域で多く取り入れられています。世界的に見るとスウェーデンを始めとする北欧諸国で、日本国内では北海道でよく見られます。

このように、24時間換気システムと一口にいってもその換気方法や設備はさまざまです。自身の住宅はどの換気システムが向いているのか、今ひとつよくわからないという方もいるのではないでしょうか。そんな場合は、ハウスメーカーや工務店などプロに相談するのが確実な方法です。

24時間換気システムのメリット

24時間換気システムのメリットはやはり、室内全体の空気を随時クリアに保てるという点です。塩化ビニールシートやビニールクロスなど、化学物質が多く使われている家では、場合によって化学物質アレルギーなどの問題が発生することもあります。24時間換気システムがあれば、そういった問題の原因となる室内の化学物質を効果的に取り除くことができます。

また、24時間換気システムを設置することで、常に安定した換気状態を保つことができます。これは、暖房・冷房のエネルギーのロスを防いだり、過度の湿気を防いだりすることにも繋がるのです。

「自然換気をすればいいのでは」という声もありますが、自然換気による換気量は、住宅内外の外風や気象条件などによって左右されるものです。そのため換気条件としては不安定であり、室内の空気を十分に換気することは難しいのです。そうなるとさまざまな問題が生じます。たとえば、冬に暖房を使って部屋を温める際に排気量が大きくなりすぎて暖房エネルギーのロスに繋がってしまいます。それに対して内外温度に大きな差が生じない梅雨時期には排出量が不足し、室内の水蒸気がスムーズに排出できなくなります。24時間換気システムを導入し、随時部屋の空気を入れ替えるようにすれば、こうした問題点も解消されます。

デメリットもしっかりと把握を

その反面、デメリットも少ないながら当然存在します。最も懸念すべきデメリットは、"設置費がかかる"という点です。新築費用を押し上げる要因になることもあるため、どのようなタイプの換気システムを設置するかは慎重に検討する必要があります。くわえて、ランニングコストが発生するのもデメリットの1つです。設置するファンは電動になるので、毎月の電気代への影響が懸念されます。24時間換気システムを設置する際は、電気代などの光熱費とも相談しながら設置するシステムを吟味することが大切です。