住まいづくりのコラム

家を建てる際は必ず基礎をつくらなければなりません。しかし、その基礎には主に2つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
そこで、今回はそれぞれの基礎の特徴やメリット、デメリットについて紹介します。

住宅で使われる基礎の種類は？

通常、家を建てるときは基礎という鉄筋とコンクリートでできた土台をつくるのですが、その土台部分には布基礎とベタ基礎という主に2つの種類があります。
それぞれ特徴が異なるので、詳しくみていきましょう。

布基礎の特徴

布基礎は多くの家で採用されている基礎構造であり、日本では古くから採用されています。
布基礎はTの字を逆にした断面形状の鉄筋コンクリートが使われており、建物を点や線で支える仕組みです。
基礎の立ち上がり以外は土のままにしておくこともあれば、防湿コンクリートで覆うことが一般的です。

ベタ基礎の特徴

一方、ベタ基礎というのは、地盤全体に鉄筋コンクリートの基礎を設置する基礎構造です。点や線で建物の重さを受ける布基礎に対して、ベタ基礎は地盤全体に敷き詰められた鉄筋コンクリートで建物を支えます。
この基礎構造は1995年の阪神淡路大震災以降に国内で広まり、今では多くのハウスメーカーや工務店で採用されています。
また、建築基準法では、ベタ基礎の根入れ深さ、底盤の厚さをそれぞれ12cm以上と定めており、より布基礎よりもより強固な基礎構造という特徴があります。

布基礎のメリット、デメリットは？

これまでの解説をみると、布基礎のほうが劣っていると思われる方も多いでしょう。しかし、実際はメリットも多くあるので、具体的にどのようなメリットがあるのかみていきましょう。さらに、デメリットも併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

布基礎のメリット

布基礎の最大のメリットといえるのがコストを抑えられる点です。ベタ基礎と比べると使用する鉄筋やコンクリートの量が違うので、材料費を大幅に抑えられます。
さらに、輸送費や人件費も抑えられるので、トータルコストが安いというのがメリットでしょう。
そのほか、場所によってはベタ基礎よりも強度が高いところがあるのもメリットといえます。布基礎の場合、ベタ基礎よりも根入れが深いので、その部分については強度が高くなるのです。そのため、建物の重さが集中しやすい鉄骨住宅などの場合はベタ基礎よりも布基礎が向いているといわれています。

布基礎のデメリット

一方、布基礎のデメリットとして考えられるのがベタ基礎よりも耐震性が劣る点です。
ベタ基礎のように鉄筋やコンクリートを地盤に敷き詰めているわけではないので、どうしても耐震性が劣ってしまいます。
そのほか、木造住宅の場合はシロアリ被害のリスクが高くなるともいわれています。
というのも、ベタ基礎のように地面をコンクリートで覆っているわけではないので、シロアリが侵入しやすい構造になっているのです。

ベタ基礎のメリット、デメリットは？

ベタ基礎には、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

ベタ基礎のメリット

耐震性の高さがベタ基礎のメリットといえるでしょう。地盤一面にコンクリートを敷き詰めているので、建物の重さを分散しており、布基礎よりも耐震性が高いのが特徴です。
さらに、地面をコンクリートで覆っているのでシロアリ被害のリスクを抑えられるのもメリットといえるでしょう。
とくに木造住宅の場合はシロアリ対策が非常に重要ですが、ベタ基礎であれば地盤部分の土が露出していないので、シロアリの浸入リスクを最小限に抑えられます。

ベタ基礎のデメリット

一方、ベタ基礎のデメリットはコストが高くなってしまうことが多い点です。使用する鉄筋やコンクリートの量が多いので、どうしてもコスト面では布基礎に軍配があがります。
また、雪国などの寒冷地では地中凍結の恐れがあるので、通常よりも深い根入れが必要になります。しかし、ベタ基礎の根入れを深くするとなると、よりコストがかかってしまうことから、寒冷地では布基礎が選ばれる傾向にあるでしょう。

まとめ

家づくりを検討する中で、基礎についてあまり関心がないという方もいるかもしれません。
しかし、基礎は建物の土台であり、非常に重要な役割を担っています。
今回は日本の建物で主に使用される布基礎とベタ基礎の特徴やメリット、デメリットについて紹介しました。
それぞれ、異なる特徴があり、建物の構造や工法、そして地域や地盤によって適切な方法を選ぶのが大切です。

ただ、昨今は耐震性の高い家が注目を集めていることから、どちらかというとベタ基礎が主流になりつつあります。もちろん、布基礎に比べるとコストが高くなってしまうものの、シロアリ発生のリスクなどを考慮すると、ベタ基礎が多く選ばれる傾向にあります。
今回は2種類の基礎を紹介しましたが、ハウスメーカーや工務店によってどちらの基礎で家を建てるのかが異なります。

これから家づくりをされる方は、どのような基礎で家を建てるのか、あらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。