- 高齢者住宅・障がい者住宅
- 2023.04.05
家族運営の「認知症グループホーム」実は制度外の 「共同住宅+訪問介護」/ユニマットRC MBKパートナーズが買収 ツクイに続き大手法人が買収
家族運営の「認知症グループホーム」実は制度外の「共同住宅+訪問介護」
※出典:高齢者住宅新聞より
今回は、介護保険先進国・ドイツの高齢者ケアのご紹介。特に認知症の方へのケアで興味深い取組みをされている。
ドイツは日本より5年前に介護保険をスタートさせたが、グループホームへの扱いは一般施設の中に組み込まれており、独立したサービスとはなっていない。加えて、制度発足直後はサービス利用の対象者を日本の要介護3以上の中重度者に限定していた。そのため、ADLがあまり落ちていない軽度の認知症の人たちは、制度から外れていた。
この数年の間に、保険料を上げて制度の規模を拡大し、軽度者への裾野を広げてきた。同時に認知症の人への枠も大幅に広がった。
ブレーメンの中心部で訪れたのは、こうした背景から登場した認知症高齢者の共同住宅(WG)、「WOGE BREMEN(ボーゲ ブレーメン)」である。
入居者は8室に8人。運営するのは入居者の家族たちである。運営団体「WOGE」の代表、アナ・ロシキさんは「以前は、認知症の人たちが入居できる施設があまりなかった。そのため、家族が集まり、事業として認知症の人たちを受け入れようということになり、始めました」と振り返る。
入居者への介護サービスは、家族会が専門の訪問介護事業所に頼んでおり、2人のヘルパーはそこから派遣されてきた。つまり、WGはただの集合住宅である。介護サービスは外付けとなる。日本の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と同様と見ていいだろう。
WOGEでは、経営面で厳しくなったため大手事業者の支援を受けることになったという。だが、家族会は「家族としてのこだわりは変わらない」と強調している。
本来あるべき理想の介護の形と事業運営としての経営的観点の両方を求めるのは簡単ではないが、弊社は双方を満たす最適な事業提案を運営事業者様の皆様に提供させていただきたい。
ユニマットRC MBKパートナーズが買収 ツクイに続き大手法人が買収
北アジアを拠点とする独立系PEファンドのMBKパートナーズ(以下・MBKP/東京都千代田区)が1月27日、ユニマット リタイアメント・コミュニティ(以下・ユニマットRC/同港区)の全株式取得を公表した。取得予定は4月。金額は数百億円規模とみられる。なお、ユニマットRC上場廃止前の2021年度売上高は約586億円。
在宅系から施設系まで展開するユニマットRCは、ショートステイにおいて業界首位の拠点数を持つ。また、MBKPが21年に買収したツクイ(横浜市)は、デイサービスにおいて業界首位の拠点数を持っており、両社の一体運営によって在宅系で国内最大規模のグループとなる。今後両社は、強みを活かしたオペレーションノウハウの向上、創客などにおいてサービスを補完し、業務効率化、稼働率向上などのシナジーを見込む。
ショートステイについては、他業態よりも難易度が高く参入障壁があると言われる。一方、デイからショートへのサービス利用の流れでは要介護度の移行が見込まれることから、多様化する利用者ニーズに、これまで以上にワンストップで対応できることになる。MBKPは今後、介護報酬に頼らないビジネスモデルの構築を目指す中で、保険外などより踏み込んだ新サービスの開拓も強化していく方針だ。
全国的に大手ファンドが介護法人を買収する動きが加速している。大手介護事業者は力を増していくだろう。その中で、地域密着の運営事業者様は地域に合わせた戦略が必要だ。
1つは、利用者に合わせたきめの細かいサービス。最近では、重度者や医療行為が必要な方へのサービス提供や高齢者だけでなく障がい者へのサービス提供など幅の広いサービスが求められてきてる傾向にある。
そしてもう1つは、スタッフの質である。地域で頑張っている運営事業者様に共通している特徴はスタッフの評判が高く、スタッフの離職率も非常に低いことだ。「人の力」は大手介護法人にも負けない強固な事業運営を支えてくれることだろう。