寒さに強い戸建てを建てる
“戸建ては寒い”。昔からよくいわれています。築年数が経てば経つほど、寒さは身に染みてくるのではないでしょうか。穏やかな気候の地域にお住まいだとしても、冬場の寒さは辛いでしょう。ましてや高齢者にとっては、健康にも直結することとなります。
見過ごせない、戸建ての寒さ問題に対して、対策を考えていきます。
戸建てが寒い原因
マンションに比べ、戸建てが寒いといわれる原因には2つあります。
1.建物の構造
特に、戸建てに多い木造では気密性や蓄熱性が低くなり、隙間風が入りやすくなります。また、戸建てでは窓、壁、床、屋根、外壁など、熱が失われる箇所が多くなるためです。
2.間取り
吹き抜けや階段、2階建て以上の建物は部屋の多さなどによって、空気の流れが遮られてしまい、暖房効率が悪くなる上、暖かい空気は上部に溜まり、下階を暖めにくいためです。
寒さによるダメージ
室内でも寒い中で長時間過ごすと、ダメージを受けやすくなります。どんなダメージがあるでしょうか。主な3つを見ていきます。
①健康へのダメージ
WHO(世界保健機関)がすすめる冬場の最低室内温度は『18℃以上』です。子どもや高齢者はさらに暖かさが必要とされます。寒い家で熱が奪われて低体温になると、体の機能が衰え、自律神経や睡眠を乱す原因となる他、寒さで血流が悪くなると、高血圧、夜間頻尿、呼吸器系疾患など、体へ与える様々なリスクが高まるでしょう。
厚生労働省の令和3年人口動態統計でも、寒くなる10月~3月にかけての死亡数は多い傾向にあり、寒さの体への影響がうかがえます。
②光熱費へのダメージ
冬の光熱費を節約するといっても、暖房器具を一切使用しないことは現実的ではありませんので、何らかの暖房器具は使用するでしょう。ただ、昨年から光熱費の値上がりは半端ではありません。数倍も上がってしまったという声も多く、寒い戸建てで過ごす光熱費の問題は深刻です。
③住宅機能へのダメージ
外気温が下がる冬場には、室温も下がると同時に結露の問題が出てきます。典型的なものは窓の結露ですが、断熱材のある壁も同じことです。長年にわたり壁の内部の結露を放置すると、湿気の影響で断熱材や木材の腐食を招くことがあるでしょう。
自分でできる寒さ対策
室内の寒さに対応していくには、自分で様々なアイテムを活用していくことは必須となります。重点的に寒さ対策をしていく箇所とアイデアを紹介します。
窓からの対策
・断熱シートなどを貼る
・断熱ボードを立てかける
・厚い生地や床まで届く長丈のカーテンを選ぶ
・保温性のある素材や遮熱素材のカーテンを選ぶ
・断熱裏地のついたカーテンを選ぶ
・DIYでできる内窓作成キットを使用する
・雨戸やシャッターは必ず下ろす
・窓下専用ヒーターを設置
隙間風の寒さ対策
・防湿シートや気密テープなどで隙間を埋める
・ドアの開閉を少なくする
・サッシのパッキン交換
床からの寒さ対策
・床にカーペットやマット、置き畳などを敷く
・床暖房を設置する
・ルームシューズやスリッパを履く
壁からの寒さ対策
・断熱性のある壁紙やボードを壁と家具の間に使用
・部屋全体を暖めるよう、暖房器具や補助器具を効果的に使用
新築時からの寒さ対策が最も重要
結局、家を建ててしまってから「寒い家だった」と思うなら、新築時から寒さに強い、暖かい家を建てることが重要となるのです。
参考にしたい『C値/UA値』とは
これから家を建てる方におすすめしたいのは、冬場はもちろん、年中快適に暮らせる『高気密・高断熱の家』になります。気密性(家全体の隙間の量)を示す値が“C値”、断熱性(家全体から逃げる熱の量)を示す値が“UA値”です。どちらも数値が小さければ、気密性や断熱性に優れているといえます。
目安となる数値は、気密性を示す“C値”の一般的値は5.0㎠/㎡、断熱性を示す“UA値”は北海道(寒冷地)のZEH最低基準で0.46となります。C値が5.0㎠/㎡より小さく、UA値が北海道の0.46より小さければ、『高気密・高断熱に優れた家』といえるでしょう。
寒冷地仕様で家が建てられている北海道の数値を目安とするのは厳しいかもしれませんが、同等やこれ以上の高断熱が実現すれば、どんな地域に住んでも快適な暮らしが保障されたようなものです。実際、比較的温暖な地域では、そこまで『高気密・高断熱』を重要視しないことが多くなりますので、いろいろな展示場で比べてみることをおすすめします。
ニッケンホームの家『ZEH住宅「Solie」シリーズ』ではC値が0.47㎠/㎡、UA値が0.34~0.58をっ目安としています。省エネのパッシブデザインと創エネの高性能住宅をモデルハウスや完成見学会で、ぜひ、お確かめください。