家族がくつろげるファミリールーム
家といっても、日本の中でさえ地域によって建て方が違うものです。ましてや海外では、国や地域により建物にはさまざまな違いがあります。日本と海外を比べた場合、その違いは何でしょうか。
今回は海外と違う間取りの一つとして、『ファミリールーム』に焦点を当てて考えていきます。
海外では普通、ファミリールーム
ファミリールーム。聞いたことはあるでしょうか。海外の家、特に欧米において、家族が本当にくつろぐスペースとして、なくてはならないのがファミリールームです。もちろん、日本でもファミリールームを備えている家はありますが、数としては少数かもしれません。
「日本に比べて、広い土地や建物だから当り前では？」と思うかもしれませんが、そうではなく、日本より家族のプライバシー確保を徹底していることが根底にあります。
リビングルームとファミリールームの違い
リビングルームとファミリールームは、共に家族がくつろぐスペースですが、違いはどこにあるのかを見ていきます。
リビングルームとは
日本でリビングルームといえば、“家族団らんの場であり、来客もお通しする居間のこと”になるでしょう。実際、家族が寛いでいる場面に急な来客があっても、リビングルームで対応することになります。家族で暮らすほとんどの方に多いパターンではないでしょうか。
暮らしぶりを他人に見られることになるため、リビングルームの片づけにはいつも気を遣うでしょう。来客がほとんどない家だとしても、誰も家に一度も上げないことはないでしょうから、居間といっても本心から寛げない感覚があるかもしれません。
海外でいうリビングルームは、“ゲストを招く＝おもてなしをする”空間になります。日本と違い、玄関を開けるとすぐにリビングルームとなるため、日常的に暮らしぶりを見せる文化が根づいた空間になっているのです。
ファミリールームとは
日本の感覚では第二のリビングルームととらえることもありますが、海外の感覚ではまったく違います。圧倒的な違いは、家族以外は出入りしないスペースとなっていることです。徹底して、たとえ親戚であってもファミリールームには入れないことがあります。家族の完全なプライベート空間として、本当の寛ぎを求めるスペースがファミリールームです。
リビングルームの奥に設けてある場合がほとんどで、来客時にも、ファミリールームで子どもが遊んだりすることが気兼ねなくできるでしょう。他人が入ることで起きやすい気まずさや居心地の悪さを感じることなく、快適に過ごせる空間になります。
ファミリールームを取り入れる際のポイント
ファミリールームは間取りを一つ増やせば済むというわけではなく、位置や用途など、押さえたいポイントがあります。紹介していきましょう。
①生活動線と来客動線の区別
生活動線の一つとして来客動線も検討することになりますが、ファミリールームの位置は、絶対的に来客動線と重ならないようにし、視線にも入らないようにします。当然、リビングルームを通り抜ける位置にすることはNGになります。具体的にいうと、玄関からリビングルームへ続く途中や奥にあってはいけないということです。トイレへの動線も分けなければならないでしょう。
②生活動線から離れない位置
ファミリールームを来客動線と分けるといっても、生活動線が離れてしまうと、間取りとして使いづらくなってしまいます。寝室、ランドリールームやクローゼットなどの近くに位置するようにし、生活動線の範囲から離れないようにする配慮が必要です。家族がいつでも立ち寄れるスペースにすることが大事でしょう。
③家族の誰もが気軽に使える用途
ファミリールームを家族の誰かが占領してしまうような使い方は好ましくありません。活用の幅を広げるためにも、いろいろな用途を持たせておくことが重要です。遊びや家事など、その時々に応じて対応できるスペースにしておきましょう。将来、家族構成の変更によるファミリールームの変化が起きた場合でも、大がかりな工事が不要になることにつながります。
④作りつけの収納を有効利用
いくら家族だけの空間といっても、すぐ片づけられる環境でありたいものです。空間をスッキリと見せるためには、作りつけの収納があると一石二鳥でしょう。邪魔にならない収納家具によって物の定位置が決まり、子どもの片づけ習慣を身につけさせることも可能です。
⑤区切りの間仕切りがあれば効果的
緊急事態として、どうしてもリビングだけでは来客が入りきれなかったり、来客用寝室が急に必要となったりした場合、区切りとなる間仕切りがあれば、ファミリールームの一部を区切り、臨時の空間として使用することが可能になります。できれば、引き戸タイプの可動式間仕切壁にすると、急な事態にもすぐ対応できるでしょう。
