居室以外にストレージルームをつくる
図面に書かれた「STR」という文字を見かけたことはないでしょうか。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ストレージルームのことを指し、注文住宅に登場する場合もあります。いったい何のスペースなのか、役割やメリット・デメリットを見ていきましょう。
ストレージルームとは?
「STR」で書かれたストレージルームとは、納戸や収納庫のことをいい、図面に「S(サービスルーム)」や「N(納戸)」と書かれているものも同じ意味です。
いずれも、建築基準法でいうと『居室に認められていない部屋』になります。広さは2~5畳ほどでしょうか。居室といえるのはリビングや寝室などで、玄関やトイレをはじめ、納戸や収納庫などは居室ではないということです。
居室とそうでない部屋との違いは?
建築基準法第2条第4号では、居室について次のように記載されています。『居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう』。それだけではなく、採光や換気などをはじめとする様々な基準を満たして、居室だという定義になるわけです。逆にいえば、基準を満たさない個室は、納戸や収納庫扱いとなります。
一例として採光の基準をいえば、居室には『部屋の床面積の1/7以上の有効採光面積』が必要になります。有効採光面積とは、窓面積に「採光補正係数」をかけた面積です。そもそも採光補正係数は建物と隣地との距離、塀から窓までの高さなどに影響されます。ただ窓の面積があればいいのではなく、たとえ、窓が大きくても基準に該当しなければ、居室として認められないのです。
ストレージルームのメリット・デメリット
居室ではないストレージルームには、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
1. 多目的な使用が可能
ストレージルームは建築基準法上居室として認められていませんが、使い方は自由で、もう一つの個室とする、趣味・家事室やワークスペースにする、納戸や収納庫とするなど、多目的に利用できることが大きな特徴です。
2. 大型収納も可能
元々の広さは2~5畳あることが一般的ですから、季節ごとの使わない家電や飾り物、日用品、子どものおもちゃなどを一括で収納しておくことにも適しています。区切りなどを工夫してカスタマイズし、使いやすくしておくと、きれいな状態で収納が可能です。
デメリット
1. デッドスペースになりやすい
物置として何でも置いてしまうと、広いがゆえにごちゃごちゃになってしまう場合があります。明確な使用目的を持たなければ、十分に活用できないデッドスペースになる可能性が高くなってしまうでしょう。
2. 暗いスペースになる場合もある
窓が基準を満たしていない場合は、太陽光が入りづらいかもしれません。照明で工夫をする必要があるでしょう。
3. 換気がしづらい可能性がある
制限により、エアコンがつけられなかったり、窓がなかったりすることもあるでしょう。どんな目的で使用するにせよ、除湿機や換気扇などで空気の入れ替えをしないと、湿気の原因となり、カビの温床となってしまいます。
ストレージルームの活用法
注文住宅をつくる際に、もし、問題のありそうな環境のスペースが出てきたとしたら、積極的に“あえて、居室以外にストレージルームを持つ”ことを検討してみることはありでしょう。家族のライフステージに合わせた使い方を検討できるのも、ストレージルームならではというものです。居室ではないからといってがっかりする必要はありません。デメリットをメリットに変える発想の転換で、大いに活用していきたいものです。
例えば、『暗い』というデメリットがあった場合、日焼けで傷んでしまう衣類や書類、直射日光を避けたい食品などを置くことには適しているというメリットになります。照明やコンセント類増設により、書斎やオーディオルーム、ワークスペースにも適することになるでしょう。他にも、リビングに近ければ、家事室やキッズルームとしての活用も考えられます。
ストレージルームをつくる場合の注意点
ストレージルームはスペースとして有効活用が可能ですが、リビングや居室と比べた場合、どうしても採光の問題が出てくることになります。新築からあえてストレージルームを検討するなら、設備の充実に努め、一つの空間として少しでも快適さを保てる、後悔のない空間に仕上げたいものです。
設備の充実として考えられるのは、エアコンや除湿機などの設置、十分なコンセント数の設置、アイテムに合わせた棚やボックスなどの設置になります。
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