おしゃれと実用性を兼ねた「窓選び」
外観のデザインにも大きくかかわっている窓。完成してからでは修正ができないからこそ、こだわりを持ち、慎重に選びたいものです。窓を決めていく要素は、大きさ・数・配置・ガラスやサッシの種類など、多くあります。選び方がわからないという声にお応えし、窓選びのポイントをお伝えしていきます。
窓の役割
人が快適に生活するため、建物にはなくてはならないものが窓になります。役割として、すぐ思い浮かぶのは、採光・通風・眺望の3つではないでしょうか。その他にもまだいくつかの役割があります。断熱・日射取得・遮蔽(しゃへい)・室内外のつながり・暴風雨からの保護・防犯・防音・デザインアクセントなどです。ガラス1枚といっても、デザイン的な役割から実用的な役割まで、何役もこなしていることがわかります。
すべての窓がすべての役割を備えるのは無理かもしれませんが、取り付ける場所に合った目的を果たせるよう、よく考えてみることをおすすめします。
窓の主な種類とメリット・デメリット
開閉の仕方で分かれる種類を見ていきます。
開閉による種類
①引き違い窓
2枚のガラス窓が左右にスライドするタイプです。掃き出し窓、腰高窓などがあります。メリットは比較的安価でポピュラーであること、デメリットは防犯の面で不安があることです。
②滑り出し窓
外側に開閉するタイプです。縦・横の滑り出し窓などがあります。メリットは風を効率良く通し、掃除が内側からできること、デメリットは窓を大きくできないことです。
③FIX窓(はめ殺し窓)
開閉できない、固定されたタイプです。1枚がすべてFIX窓、左右片側がFIX窓(片引き窓)といった種類があります。メリットは気密性が高く、スタイリッシュなこと、デメリットは掃除などのメンテナンスが大変なことです。
④上げ下げ窓
上下の2枚窓を上げ下げするタイプです。メリットは開き具合の調節ができることやデザイン性の高さ、デメリットは内側からの掃除のしにくさ、開閉にやや力が必要なことになります。
⑤倒し窓
窓枠の下枠を軸にして、内・外に開閉するタイプです。メリットは防犯や落下防止、プライバシー保護、デメリットは高所への取りつけが多く、掃除が困難なこと、高温多湿な場所に不向きなことになります。
⑥天窓(トップライト)
勾配屋根に設置するタイプです。メリットは1日中陽が差し、採光には最適なこと、デメリットはメンテナンスが大変なことになります。
⑦スリット窓
縦横に細長いタイプです。FIX・開閉タイプ、どちらもあります。メリットは壁の上下・左右、どちらも付けられることで採光・防犯・デザイン性に有利なこと、デメリットは位置によって採光や防犯が不利になることです。
⑧小窓
形がいろいろある、小さいサイズのタイプです。メリットは採光・防犯・デザイン性・配置が有利なこと、デメリットは内側から掃除ができないことになります。
⑨折りたたみ窓
折りたたむと開口が全開になるタイプです。メリットは庭やテラスなどの大きな部屋の採光に最適なこと、デメリットは防犯上の注意が必要なことやメンテナンスが大変なことになります。
⑩ルーバー窓
羽状のガラスが回転するイプです。メリットは通風の加減ができ、雨が入りにくいこと、デメリットは防犯面が弱いことになります。
窓ガラスによる違いのポイント
窓ガラスにも種類がありますが、こちらはデザイン性というより、機能性の違いになり、機能によって価格が変わることがポイントになります。大雑把にいうと、複層ガラスのような断熱・遮熱・防音性のあるものは高価になり、機能性の低い一般的なガラスは安価になるということです。
窓ガラスの選択こそ、日々の快適性に大きな影響を与えるといえるでしょう。
窓の配置・数を決めるポイント
採光だけでなく、通風を考えた場合、基本は対角線上に2ヵ所配置することがおすすめです。リビング・ダイニング・寝室には2ヵ所、玄関・納戸・トイレ・浴室・階段には1ヵ所、各居室には状況に合わせて1~2ヵ所を調節すると良いでしょう。
窓の配置や数は、隣家との距離や位置によっても変わってきます。窓の大きさによって、数が変わることもあるでしょう。窓のデザインだけを見るのではなく、全体条件を考えながら配置や数を決めたいものです。
こだわりの注文住宅にこだわりの窓
建物のどこにこだわるかの価値観はそれぞれ違いますが、特に注文住宅の場合、窓一つの印象によって、建物の価値が高くも低くも見えてしまいますから、デザインや配置、数にこだわることは重要なポイントになります。外観から見て窓へのこだわりが見えると、注目される建物となるでしょう。
同時に、主役は住人ですから、暮らしやすい窓を選ぶことも重要です。外側・内側からこだわった窓にすることで、暮らしの質が全然違ってくることは間違いないでしょう。