- 高齢者住宅・障がい者住宅
- 2023.09.27
介護「単発バイト」急拡大 ワーカー登録数、2年で10倍 介護の人材不足解決/「通所+訪問」新サービス 創設の背景と新類型の概要 報酬改定で注目の新サービス
介護「単発バイト」急拡大 ワーカー登録数、2年で10倍 介護の人材不足解決
※出典:高齢者住宅新聞より「カイテク」
介護・看護職に特化した有資格者限定の単発バイトアプリ「カイテク」。この2年間で登録事業所数は約15倍の2800ヵ所ほど、登録ワーカー数は約10倍の10万人ほど(8月現在)に急増。2020年にサービス開始以来、ノウハウを積み上げてきたカイテク(東京都渋谷区)の武藤高史社長に聞く。
――コロナ禍以降、「ワークシェアリング」「単発バイト」といった働き方が広がりを見せている
武藤:特に人材不足の介護業界においては、職員を確保する新たな手段として、チャレンジする事業者が増えていると感じる。潜在労働力の掘り起こしに寄与するワークシェアリングは今後も普及が進むだろう。
――どういった課題を持つ事業所がカイテクを活用しているか
武藤:慢性的な人材不足に悩む事業所もいるが、急な欠勤や退職が発生した際に「来月の昼の時間にピンポイントで人がいない」といったケースで大いに活用してもらっている。短期的な人員確保に貢献する一方、我々としては中長期的な目線で、カイテクの活用による生産性向上やケアの質向上、職員の休憩・休日の確保、さらには余剰人員の適正化、人材紹介や派遣と比較したコストメリットなど、本質的な経営課題の解決を一緒に考え進めている。
――事業者が感じる導入への不安はどのように解消しているか
武藤:挙げられる懸念点としては、面接がないことによるミスマッチや、いきなり業務を任せる心理的不安、「単発×直接雇用」というこれまでなかった雇用形態への抵抗感など。これらの声に対し安心してサービスを利用してもらうため、蓄積してきた事例に基づく支援を行い、PDCAサイクルを回して払拭してきた。
――今後の展望は
武藤:サービスの提供価値を高める改善と、現在の1都3県や関西を中心としたエリア展開から、さらに拡大を図る。直近では北関東や静岡、北海道、広島などに進出しており、今後は九州や東北エリアにも広げる計画だ。
介護の人材不足の対策として1つの選択肢となる媒体である。
「通所+訪問」新サービス 創設の背景と新類型の概要 報酬改定で注目の新サービス
在宅サービスの重要性が高まる中、新類型として訪問系と通所系の複合型サービスが次期報酬改定で創設される。具体的な制度概要の公表は9月以降だが、このサービスへの参入が進むか否かは、今後の介護マーケット動向に少なくない影響を与えるだろう。業界各社、関係者の声を踏まえ、制度概要や個別の論点、業界への影響を考察する。
■創設の背景
地域包括ケアシステムの理念のもと、在宅サービスを強化したいという制度の狙いが見え隠れする。訪問介護人材は有効求人倍率約15倍という超売り手市場で、働き手の高齢化も進む。通所サービスと訪問サービスを兼務できれば、訪問人材不足の解消に一役買うという思惑だ。異なる類型にまたがる人材の柔軟な活用が期待できる。訪問介護と通所介護の複合型の場合、訪問介護ヘルパーを通所介護の人材が担える。新サービスの創設は2012年度の定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護事業所の創設以来、12年振りとなる。
創設の狙いは、全国的な訪問介護機能の拡充だ。地域密着型を想定しているのは、各自治体主体の地域の実情に応じた柔軟な施策が求められるということだろう。 (一般社団法人全国介護事業者連盟・斉藤正行理事長)。
■新類型の概要
地域密着型サービスとして、訪問「系」と通い「系」の複合型が創設される。「色々な組み合わせが想定できるものの、一番基本的な形として訪問介護とデイサービスの複合型が創設されるのはほぼ確実だ」(斉藤理事長)。
報酬体系は地域密着型の包括報酬となる公算が大きい。包括報酬制の複合型サービスとなれば、小規模多機能型居宅介護や定期巡回などと同様、在宅の中重度者がメインターゲットとなりそうだ。
2024年に新しく創設される通所・訪問の複合型サービス。その中でも中心となるのが訪問介護+デイサービス。
地域の介護事業者様の備えとしては、①柔軟な運営形態に対応できる自社の体制の整備、②中重度者への対応が重要になってくるだろう。いづれにしても、今のうちから介護人材の確保や自社の経営の見直しを行い、来年の報酬改定に備えるべきである。