居心地の良さを左右する 床材の選び方
間取りや設備など、住まいの居心地を左右する要素はいろいろありますが、床材もその一つです。足元の材質は、居心地の良さをダイレクトに伝えます。
今回は、どうしたら居心地の良い床材を選ぶことができるのかを、床材と種類や機能性を中心に解説します。
床材を選ぶ3つの重要性
住まいの中で、占める割合が大きい床材。まず、なぜ床材を選ぶことがそれほど重要なのかを説明しましょう。
①色や素材感といった、視覚から入る情報の重要性
毎日目に入ってくる色やデザイン、素材感。落ち着きのある間取りになるのか、緊張感ある間取りになるのか、テンションアップの間取りになるのかなど、視覚からの影響は重要です。
②身体で感じる体感の重要性
床の硬さや柔らかさで足への衝撃度が違うこと、材質により熱の保温性が違うことなど、身体への負担は床材次第で大きく変わりますから、大変重要になります。
③メンテナンスを考えた、耐久面などの重要性
家具を置く、人やペットが歩くといった、摩擦が加えられる床材は、壁や天井とは汚れや傷む度合いが違います。メンテナンスのことを考え、防汚性や耐久性、防水性などの検討が重要となります。
床材の主な6種類と機能性
床材にも豊富な種類があり、大きく分けると6種類になります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
①フローリング
床用に木材を加工したフローリングは、複合(合板)フローリングと単層(無垢)フローリングの2種類に分けることができます。
複合(合板)フローリング
合板に天然木や木目調のシートを貼りつけた、安価で馴染みのある床材の一つです。3つのタイプがあり、価格の安い順から、シートタイプ、突き板タイプ、挽き板タイプに分かれています。
表面加工による、耐久性・耐水性・耐熱性などの強化が大きな特徴です。デメリットとしては、長年の使用により、表面加工がはがれてしまう可能性があります。
単層(無垢)フローリング
天然木材が使われ、木が持つ質感や温もりを感じられる床材です。複合フローリングより価格は高くなりますが、足触りの良さに違いははっきり現れます。広葉樹か針葉樹によっても色や足触りが違う床材です。
経年による変化も楽しめ、削り直しの修復が可能なことから、材質そのものに愛着がわくことが特徴でしょう。収縮や傷がつきやすい点はデメリットとなります。
②クッションフロア
厚さ1.8~3.5mmほどの塩化ビニール製の床材です。施工しやすく、安価であることから、採用するケースも多くなっています。
色柄が豊富でクッション性や防水性が高く、古いクッションフロアの上に重ね張りも可能な使い勝手の良さが特徴です。耐久性の面での不安がデメリットでしょう。
③カーペット
織物の床材です。手頃な価格で、色や風合いが選べることで人気となっています。
クッション性と遮音性、保温性が高く、気軽に寝転ぶことができるのが特徴です。デメリットは、食べこぼしの掃除が面倒なことや、ほこりが溜まりやすいことがあります。
④コルク
コルク樫の樹皮をはがして板状に圧縮加工した床材です。表面塗装があるコルクは、床材に適した材質になります。
断熱性・保温性・吸湿性・吸音性に優れ、弾力性もあるため、足元の衝撃が少ないことが特徴です。子ども部屋に使用されることが多く、最近ではペット用の床材としても人気があります。デメリットとして、日当たりの良い部屋は変色が早く、傷の補修は難しいため、張り替えの必要性が出てくる点です。
⑤タイル・天然石
タイルは陶器、天然石は石から作られた床材です。硬さがあり、水に強いため、外床や玄関に使用するイメージかもしれませんが、最近は内床への使用も増えています。
高級感がある、高いデザイン性が特徴です。水回りの他、リビングにも活用する方が増えています。硬さとひんやり感が足元に負担をかけることがデメリットになるでしょう。
⑥畳
い草という植物を織って作られた敷物の床材です。畳表(たたみおもて)・畳床(たたみどこ)・畳縁(たたみべり)で構成され、畳表は、化学繊維やパルプを使用したものも出ています。
さらりとした足触りで、弾力性・断熱性・保湿性・吸湿性があり、昔から親しまれ、年間を通して過ごしやすいのが特徴です。サイズやタイプもいろいろあります。日焼けによる退色で、定期的な裏返しや表替えなどのメンテナンスが必要で、手間がかかることがデメリットとして挙げられます。
床材を選ぶポイント
適材適所が床材にはあるものですが、「この間取りには○○の床材にしなければならない」という思い込みは禁物です。床材の特徴をよく理解したうえで、予算・好み(デザインや機能性)・ライフスタイルなど、総合的に考慮しながら選んでいくことが重要になります。無理のないように選ぶことで、居心地の良さは変わってくるでしょう。